鯨紀行

主に旅行記と、日々の思ったことを少々。

サラダとお国柄

ウズベキスタンの少し高級ランクに入る店で食事をしたとき、メニューにはたくさんの「サラダ」があった。主にどこそこ風という地名で書かれていることが多くて、括弧書きで具材が書かれていた。正確には書かれているらしい、ということが分かる程度だったりしたのだが(キリル文字だと読めない)。

この地名別サラダが10種類以上もあったりして、サラダにどんだけチカラいれてるのかと思ったものの、正直選ぶのが大変だった。写真は基本的にはついていない。そりゃ、10種類も15種類もあるサラダに全部写真までついていたらメニューが大変に分厚くなってしまう。

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これ全部サラダらしい


あるウズベク料理店では、他の人が注文しているものなどを盗み見つつ、ひとつ頼んでみた。別のタタール料理店では、ウェイトレスがおすすめだというタタール風サラダ、というものを頼んでみた。出てきたものはというと、

・具材は1cmほどのサイコロ状にカットされている
・具材は根菜(じゃがいもや人参など)が多く、肉や卵もよく入っている
・四角い皿にこんもり盛られている
・味付けはマヨネーズ(ただし日本のマヨネーズほどパンチはなく穏やかな味)

という、どちらも具材は違えど、基本的にとても似ているものだった

これがこっちでの流行なのかな? と思いつつも、なかなかのボリュームのあるサラダで一人では多いくらいだった。

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サラダは概ねこういったスタイル


その後日本に帰ってきてから、ふと本屋でじゃがいもに関する本を見かけた。なんでも世界各地のジャガイモ料理を集めたレシピ本だそうだ。その中でベラルーシの料理として書かれていたのが「ポテトサラダ」だった。写真を見ると、まさにウズベキスタンで食べたスタイルのサラダだ。

このポテトサラダ、一般的には「オリヴィエ・サラダ」と呼ばれているらしい。オリヴィエというのは、ロシアのモスクワのレストラン「エルミタージュ」でシェフであったリュシアン・オリヴィエの名前のフランス人。この人が考案したのがこのサラダ。1860年代のことらしい。

なるほど、これでようやく合点がいった。ウズベキスタンタタールスタンは、昔はソビエト連邦の一員。もちろん現在もロシア文化の影響が各所に残っている。ロシア風ポテトサラダといえばこのスタイルで、それが地方の特色を現しているのだろう。

一見普通に見えるサラダひとつとっても、各国の特色が出ている。日本ではいろいろな食材、レシピが当たり前にそこら中にありすぎて、細かい違いやルーツを意識することなく食べられてしまっていることが多く、そこに気づくのが難しい。