鯨紀行

主に旅行記と、日々の思ったことを少々。

ノートルダム寺院の火事に思う、「行きたいなら行けるうちに行っとけ」

ノートルダム寺院が火事、というニュースが今日の朝のハイライトでした。

 

朝の時点ではあまり被害状況が分からなかったが、その後の続報を見ている限り、構造を残して内部はほぼ全損、800年前のものといわれる美しいステンドグラスも含め、多くの貴重な歴史遺産が消えてしまったそうです。

(本当に重要な聖遺物などは退避されていた、という話を聞きましたが、そうであれば不幸中の幸い)

 

先日のウズベキスタン旅行の後につぶやいた内容とかぶるのだけれども、何度でも言っておきたいのは、

「行きたいなら行けるうちに行っとけ」

ということ。

 

ここ10年くらいで、地勢的リスクで行けなくなった場所や、テロ活動などで失われてしまったものが数多くあります。シリアのパルミラ遺跡はISに破壊されてしまった。ISやその他宗教的な対立の影響で、中東近辺には行けない地域が増えてしまった。

人為的でなくとも自然災害で失われてしまうこともありますし、行けないことはないにしても、ハードルが上がってしまうとやはり躊躇してしまう。

 

自分がウズベキスタンに行こうと思ったのは、2018年にビザが免除になってハードルが下がったこともあるけれども、あの美しいモスクもいつか消えてしまうのではないか、という焦燥感もあったのです。

ウズベキスタンは2000年前後にイスラム過激派の温床となっていた過去があり、今でも地方には活動家が多いという話。各国で起きたテロ犯の出身がウズベキスタンだったことも多く、潜伏場所としては未だに候補に挙がっているようです。

もちろん今では都市部でそのような片鱗は見られませんが、いつそういう事態が起きるか分からないわけです。

 

もう少し遡ると、クロアチアボスニアに旅行したときも同じような理由でした。政治が安定した状態が、いつか崩れてしまうかもしれない。クロアチアの美しいプリトヴィツェ湖群国立公園は、かつては内戦によって危機遺産となりました。またいつそうなってしまうか、わからないのです。

 

ですから、本当に行きたいと思ったもの、見たいと思ったものであれば、行けるうちに行っておけ、が正解だと思っています。

 

それはもちろん自分の体力面のこともあります。人間、歳を取るとなかなか億劫になって行動しにくくなります。お金はあっても時間と体力が無い、といったこともしばしば聞きます。怪我で動けなくなるようなこともあります(まさに自分が)。

 

一方で救いもあります。先日の匿名ダイアリーにあったように、世界はどんどん良くなっていること。旅行のしやすさは徐々に楽になっていますし、お金も昔ほどかからずに旅行できるようになりました。

また、政治的に安定したことによって旅行できるようになった国というのも多いこと。1990年代の旧ユーゴスラビアなんて、旅行は命がけだったはずです。それが今では安定し、旅行するに躊躇は不要になりました。そういう場所も多くあるでしょう。

 

状況をチェックし、これと思ったタイミングを見計らうことも大切です。うまく折り合いをつけて、無謀にならない範囲で出来る限り飛び出して行くのが良いのではないかと。